僕の話を聞いてくれ





大学を出てもう2年になる。

まだ2年、といえばまだ2年だが

2年という月日は短いようで案外長い。

もうじきクリスマスだ。今年は独り。

空は油絵のような重い灰色。

空気は刺すように冷たい。

こういうときに外を歩くのは嫌いじゃない。

どこに向かうでもなく独りぶらぶらと歩いている。

この2年間、色々あった。

みんなそれぞれ就職した。子供ができたやつもいる。

幸せなやつを見るのは幸せだ。いい事は喜んでやりたい。

アーティストとしてのデビューを果たしたやつもいる。

まだまだテレビで会えることは少ないが、頑張って欲しい。

僕は何をしてる?

何もしてないわけじゃない。

ただ何をしてるかと聞かれても答えは出ない。

この2年間で3度バイトを変えた。

友達と自主制作映画を1本撮った。

だからなんだと言われるのにも慣れた。

このまま歳をとって死んでいくのだろうか。

死ぬまでにあと何度こんな事を考えるのだろうか。





雪が降ってきた。

今シーズン初の雪。

この辺に雪が積もることはめったにない。

おそらくこの雪も数分でやむんだろう。

僕の体にいくつも落ちて、いくつも消えていった。


「雪は嫌い。雨のほうがずっとまし。」


昔彼女が言ってた事を思い出した。

何故なのかは今でもわからない。

ただそんな事さえわかってやれなかった僕が、

いつまでも彼女の心をつなぎとめておくのは

至極難しいことだったと今になって思う。

きっと明日には雨になる。

久しぶりに彼女の家の前を通って帰った。




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