熱帯魚を飼いだしてもうずいぶんになる。

かなり色んな種類の熱帯魚を飼っていたのだけれど、

もう今は一匹だけになってしまった。

そうなってしまったのはその残った一匹のせいである。

彼がほかの熱帯魚をいじめて弱らせて殺してしまうのだ。

なので私は彼が独りきりになっても

新しい熱帯魚を飼うことができないままでいた。

私は彼を疎ましく思った。



そして彼が孤独になって半年ほどたったある日、

突然彼の調子がおかしくなった。

背中の骨がうっすらと歪み、目が異様に充血していている。

どうやらまともに物が見えない状態らしく、

エサをうまく口に運べないようだった。

何か病気にかかったらしい。

水換えの時期を遅らせたり、エサをうっかりやり忘れたりという

私の努力がついに実を結んだのだろうか。

その病気らしき状態はかなりひどいようで、

彼は今にも死にそうだった。



しかし彼は私の予想以上の強靭な肉体と精神の持ち主で、

おそらく目が見えていないというのに、

とにかくやたらめったらそこらじゅうで口をパクつかせては

底に沈んだエサなどを口に運び、

何週間もの間命をながらえた。

ときおり動きを完全に止め、死んだようになるのだが

しばらくするとまたエサを求めて活発に動き出すようになる。

その姿は健気であるようにも見えた。



私はいつからか彼のことを疎ましいと思わなくなった。

自ら仲間に手を下し孤独を選び、

私からの嫌がらせに耐え生き続ける彼を

疎ましいと思わなくなった。

彼は今何を思って生きているのだろうか。

仲間への懺悔の念はあるのだろうか。

後悔はしているのだろうか。

もしかして彼は孤独だということにすら

気づいていないのではないだろうか。

いつから苦しみ続けているのか 忘れてしまったのではないだろうか。





今朝も彼は生きていた。

私は久しぶりに水換えをしてやった。




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