僕の話を聞いてくれ。







僕が暗がりの中、

雨上がりの路地裏を歩いていたらです。

僕の行く先にひとりの男が待ち構えていて、

僕を通そうとしないのです。

この路地裏は本当に路地『裏』といったカンジで、

かなりせまいので男がどいてくれないと

とてもじゃありませんが通れそうにありません。



『初めまして。』



男は突然僕に話しかけてきました。なんの用でしょう。

そもそも何が目的でここにいるのでしょう。

僕も学校から家に帰る近道だということで

長年ここの裏路地を利用していますが

話しかけられたのなんて久しぶりです。

いつもは野良犬か浮浪者ぐらいしかいないのです。



『来栖(くるす)さんとお見受けしましたが、相違ありませんか?』



何故僕の名を。

気づけば僕はそうつぶやいていました。



『これからあなたにいくつか質問をします。よろしいですか?』



何故。何故僕の名を。お前は誰だ。

僕は恐怖にも似た感情を込め、

ひたすらそうつぶやいていました。

男はそれを見て少し笑い、

また僕に話しかけてきました。



『私がこれから3つの質問をしますから必ず答えてください。』



彼がそう言った瞬間に少し頭がクラッとしましたが、

すぐに治りました。

少し目の前がボヤけてますが平気です。

僕もだんだんと落ち着きを取り戻し、

何故僕の名を知っているのか、

という疑問に対しての答えが出ました。

そうか。彼は神様か何かなんだ、と。



『これから私があなたに対して何をしようとも

 何の抵抗もしない事を誓いますか?』



『はい。』



神様なんだからきっと本当に願い事も叶えてくれるんだ、

僕はそう信じて疑いませんでした。

疑う余地もありませんでした。

だって彼、帽子を深くかぶった顔の下は

何もないんですもの。



『私がこれからあなたを喰べます。

 しかしあなたは動いてはいけません。よろしいですか?』



『はい。』



神様だから僕の名を知っていてもおかしくはない。

願い事もきっと叶えてくれる。

顔から下がなくてもおかしくないのです。



『では解除します。』



その一言で僕は目が覚めました。



『では最後の質問です。』



え?え?え?

何の話?え?いつの間に最後の質問になったんです?



『これからそれを実行しますがよろしいですか?』



実行?何を?ちょっと待って最初から考えましょう。

僕が路地裏を歩いてたら顔から下がない男が現れて

僕に質問をするとかなんとか言って、

それで一瞬頭がクラッとして・・・・・・・・・。

それからの記憶がない。



『質問に答えないつもりですか?』



いや。待ってください。記憶がないんです。

どうやら眠っていたようであなたが何を言っていたかなんて



『質問に答えない場合は同意とみなしますがよろしいですか?』



えっ?同意って何に同意するのかもワカらない



『さようなら。』







彼は、つまり彼の顔は一瞬で10倍ほどにも膨れ上がり、

僕を一思いに飲み込んでしまいました。



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