僕の話を聞いてくれ。







僕が夕方、ヒマつぶしに友人宅を訪ねていった時の話です。

その日、彼の部屋でしばらく話をしていた時に、

部屋の中に蜘蛛(くも)を見つけたのです。

そういえば朝方だか夕方だか、

どちらかの蜘蛛は殺しちゃいけない、

なんて事を聞いた事がありまして。

少し考えたのですが

夕方なのか朝方なのかワカらなかったので

気になって彼に尋ねてみました。



『なぁ。蜘蛛殺しちゃいけないのって、朝方?

 それとも夕方だったかな。』



「朝方だよ。」



彼は蜘蛛をじっと見つめながら答えました。

そんなに蜘蛛が珍しいのでしょうか。

続けて僕が言いました。



『朝方の蜘蛛は親の仇(かたき)の顔をしてても

 殺しちゃいけない、っていうよな。』



「夕方の蜘蛛は親の顔をしてても殺せ、ともいうな。

 ちなみに今は夕方だ。」



『へぇ。初めて聞いた。

 しかし蜘蛛が親の顔なんて気持ち悪い。』



「気持ち悪くて思わず殺してしまいそうだ。」



そういうと彼はさきほどから部屋をかけずりまわっている蜘蛛を

一思いに素手で叩き潰しました。



『あーあ。やっちゃった。』



「殺したほうがイイんだよ。そこのティッシュとってくれ。」



手に蜘蛛がついたままというのも

さぞ気持ちが悪いだろうので、

僕はそばにあったティッシュの箱から

ティッシュを数枚とって彼に渡しました。

しかし彼が今さっき潰した蜘蛛、

なんだか人間の顔をしていたような。



『しかしさっきの蜘蛛なんて種類だろう。

 なんだか人間の顔をしてるみたいだった。』



「気のせいだろ。人面蜘蛛だとでも?」



『あ。またさっきの蜘蛛。』



「手で潰すのは気持ち悪いな。マンガでやろう。」



そういうと彼は本棚からマンガを1冊取り出し、

手のひらでくるくると丸めると、

思いっきり蜘蛛の上に叩き落しました。













彼が気づいていたかどうか知らないけれど、

蜘蛛は潰される直前に、

蚊のなくような声で叫んでいました。



 助けてくれ頼む!!

 さっき母さんを殺して気が済んだろう!な?

 俺はお前の父さんだぞ?父さんを殺すなんてできないよな?な?

 おい、ちょっとやめろやめろやめろやめろぎゃあああ!!












そういえば今日は日曜日だというのに、

彼の両親がどこにもいない。



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