僕の話を聞いてくれ。







僕が中学生の頃の話です。

僕が住んでいたところはとても田舎のほうで、

夜に中学生が遊べるようなところがなかったのです。

そこで僕らの間で流行っていたのが肝試しでした。

友達の家に泊まりに行くと必ず夜中に抜け出して、

どこか心霊スポットに向かって自転車をこぎだすのです。

その日は僕と友人2人でした。

夜中の2時ごろ、友人の親が起きてしまわないように、

ゆっくりと友達の家を抜け出して

とある廃病院に向かったのです。

なんでもその病院は昔陸軍が使っていた病院で、

当然の如く死人も出たらしく、

今でも4階の廊下あたりを

夜な夜な軍人が練り歩いているのだとか。





僕らは懐中電灯片手にその廃病院に入りました。

懐中電灯を持っているのは僕だけです。

ドアはカギがかかっていたので

何故かとりはずされている窓からの侵入です。

中はさすが廃病院、といった感じ。怖いです。

壁にはヒビが入り床には穴が開き、

歩くたびにものすごい量のホコリが舞います。

それでもなんとか4階廊下手前の階段までやってきました。

ウワサによると、

4階廊下と階段の間には防火扉が閉まっていて、

そこを開けると廊下の突き当たりに

銃を構えた軍人が立っているのだとか。

階段を登る僕らの足取りはまさに慎重そのものでした。

ゆっくり、ゆっくり、足音をたてないように、

その防火扉へ向かいました。





そしてついにやってきた防火扉。本当に閉まっています。

僕らは全員でその防火扉を開ける事にしました。

いつでも逃げれるような体勢は基本です。

僕らは3人で扉に手をかけ、

勢いよく扉を開けました。





・・・ ・・・何もいない。

扉を開くと同時に廊下の突き当たりに

懐中電灯をあてたのですが、何もいません。

やっぱりウワサはただのウワサだったのか、と

落胆ぎみに懐中電灯を下に下げると、



いました。



それは確かに廊下突き当たり、

ぼんやりと光る白い影。

僕らは驚いてものすごい勢いで扉を閉め、駆け出しました。







そして1階まで降りて10分ほどたち、

ようやく落ち着いてきた時に友人のひとりがこういいました。



「なぁ、あれホントに幽霊だったか?」



確かにそれは誰も確認していない。

ただ、廊下突き当りの壁が

白っぽく光っていたような気がしただけ。

もしかしたら深夜の月明かりが壁に反射しただけかもしれない。

どちらにせよ気になるという事で、

僕らはもう一度あの防火扉の前までやってきました。



今度は3人でゆっくりと、音をたてないように、

静かに防火扉を開き、懐中電灯を廊下突き当りの壁に向けました。

・・・ ・・・何もいない。

やっぱり見間違いだったのか、そう思いかけていたその時の、

友人の声。



「なぁ。懐中電灯切ってみろよ。」



最初意味がワカらずにただ友人の顔を見つめていましたが、

しだいに意味が飲み込めてきたので、

言われたとおり懐中電灯の電源を切ってやりました。

するとどうでしょう。

長い廊下の突き当たり、微かに光る、白い影。

いました。

またものすごい勢いで防火扉を閉め、

懐中電灯の電源を入れ、友人たちと顔を見合わせました。



「いた!」「いたいたいた!」

『ホントにいたんだ!』「すげぇ!」

『光を当てると見えないみたいだ!』「幽霊だ!」



様々な言葉が交錯する中で、

友人の片方が少しおかしな事をつぶやきました。



「さっきよりハッキリ見えなかったか?」



さっきより?

僕はぜんぜんそんな事は感じなかったのですが、

友人2人はそう感じたようで、

その話題で盛り上がっていました。

しかし僕だけ話題に入れないのもアレなので、

本当にさっきよりハッキリ見えているのかどうか

確かめるためにもう一度だけ防火扉を開ける事にしました。

慎重に、扉を開ける。

するとどうでしょう。

言われてみればその通り、

さきほどはただの白い影だったのに、

今は着ている服の破れ具合までハッキリと。

僕は驚いてまた扉を閉めました。



『すげぇ!ハッキリ見えた!』

「だろ!?さっきよりハッキリしてるよな!」



僕らの盛り上がりは最高潮でした。

ナチュラルハイとでも言うのでしょうか。



『服の破れ具合までハッキリ見えたよな!』

「・・・ ・・・服の破れ?」



なんとここで意見の食い違い。

友人たちは破れまでは見えていなかったというのです。

そんなハズはない。確かに今破れまでハッキリと見えた。



『それじゃあもう一度見てみればいい。必ずみえる。』

「あ。ちょっと待てでもそれは―――――」



僕は友人の言葉をさえぎって防火扉に手をかけました。





するとどうでしょう。









僕の鼻先3cm、銃をかまえる男の姿。



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