11月4日 純の日記
今日はキリンジを買い物に連れて行った。
その行き帰りで色々と話をした。
『昨日さ』
「ん?」
『1日経ったら何もかも忘れる、とか言ってたじゃん。』
「ああ。ほんとだよ。」
『それじゃ今までどうやって生きてきたの?』
「俺もわからない。」
『・・・ああ、そっか。』
「・・・たぶんこうやって誰かに拾われてたんじゃないかなぁ。」
『じゃあなんで公園に?』
「・・・なんでだろ。やっぱり覚えてないけど。」
『そっか。』
「でも。思い出したくない。なんとなくだけど。」
『・・・ごめん。』
「いやいいよ。俺自身理由もよくわかってないのに。」
『・・・ ・・・でもやっぱりひとりで公園にいたって事はさ』
「捨てられたのかな。」
『・・・わかんないけど。』
「でももしかしたら俺から出て行ったのかもよ。
何か理由があって。」
『例えば?』
「・・・そのひと殺しちゃったとか。」
『怖いなぁ。』
「・・・ ・・・時々不安になるんだ。」
不思議な会話だった。
キリンジが少し怖いと思った。
深い井戸に石を落としたような。吸い込まれるような感じがした。
何もわからないのは不安だ。
それでもやっぱり悪いやつじゃないと思う。
今日は5時からバイトだったからキリンジに留守番を頼んだ。
何も盗んではなかったし、何も壊してなかった。
逃げるかなって少し心配したけど
よく考えたらここ以外に住むところないんだ。
そう思うと少し彼が小さく見えた。
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